「何卒」の意味と例文と書き方

ビジネス文書や目上の人への手紙というのは、普段でも書くときに緊張するものです。ましてや、相手に何かの依頼をするとなると、失礼のないような書面にしなければなりませんので、普段よりも注意が必要です。

 

取引先の企業や親会社、上司や先生など自分よりも立場が上の相手に依頼をする場合には、できるだけ丁寧にお願いをするだけでなく、心から希望しているという思いを伝える必要がありますので、文章を書くときには言葉の使い方に注意をしましょう。

 

例えば、「~してください」ではあまりにも態度が大きく、相手に不快感をもたれてしまいます。しかし、「~して頂けると喜びます」ではあまり強く希望していないようにも感じられますので、優先順位が後回しになってしまう可能性もあります。

 

このように、依頼の文章を目上の相手に送るときには、失礼がなく、かつ、自分が強い希望を持っていることを伝えなければなりませんので、言葉の選択に迷うところです。

 

このような時に利用すると便利なのが「何卒(なにとぞ)」という言葉です。これは、「どうか~してください」という支援や強力などを依頼する表現や、「どうか~でありますように」という事柄に対しての期待を表現する言葉です。

 

通常の希望とくらべると

「どうか」という言葉が副詞的な文言としてついている分、より強い気持ちを持っていることが伝わりやすいニュアンスになっています。ビジネス文書や手紙だけでなく、会話などでも使われることが多い言葉ですが、どちらかというと改まった席で使用される言葉であり、日常会話ではそれほど耳にすることはありません。

 

一方、丁寧な言葉遣いが必須とされているビジネスに関する面談や結婚式などの冠婚葬祭におけるスピーチなどでは、さまざまなシーンで使用されています。文書の中で使用する場合には、漢字で書いてもひらがなで書いても問題ありません。

 

元々、この言葉は日本で生まれているため、漢語調の文体であれば漢字で書いても差し支えありませんが、柔らかい印象を与えるためにひらがなをあえて使用している人もたくさんいます。

 

女性からの文書や、相手を気遣うような手紙を送る場合など、よりソフトな文面にしたり、奥ゆかしい印象を持ってほしいようなときにはひらがなで記載した方が良いでしょう。

 

逆に、ビジネス文書などで企業や団体宛に作成する場合には、きちんとした印象をもたれやすい漢字での表記の方が好印象になることもあります。漢字の多い文章であればここだけひらがなにするのも違和感がありますし、文章全体のイメージで使い分けるようにしましょう。

 

この言葉を使った例文は色々ありますが

通常は主文や結びの文などに使用することが多いです。結びの文として使用する場合には、「寒さ厳しき折、何卒ご自愛ください」や「これから暑さが厳しさを増してまいりますが、何卒お体にお気をつけください」というような使い方をします。

 

また、主文の中では、相手に協力や納得をお願いする場合には、「何卒ご理解の程をよろしくお願い申し上げます」や「なにとぞご理解を賜りますよう、お願い申し上げます」のように内容説明の後押しをするような書き方をするのが一般的です。

 

また、依頼文と一緒にして、「会合のご案内をいたしますので、なにとぞ万障お繰り合わせの上、ご出席ください」や「ささやかではありますが、お祝いの品を同封いたしました。なにとぞご笑納ください」、「こちらの件につきましては、申し訳ございませんがご期待に添うことがかないませんでした。なにとぞご容赦の程、お願い申し上げます」のような書き方をすることも可能です。

 

これらはすべて相手に「~してほしい」という意味での使い方ですが、「~であってほしい」という意味の使い方としては、「明日のイベントは、何卒好天に恵まれますよう、お祈り申し上げております」のような書き方になります。

 

このように、「何卒」という言葉はビジネス文書でも個人宛の手紙でも問題なく使うことができますし、難しい言い回しなどの必要もなく、色々な場面で使用することができる言葉ですので、非常に便利です。ですが、結びの言葉などでも良く使われている関係上、主文以外の文章を例文から引用したときに、言葉が重なってしまう恐れもありますので要注意です。

 

この言葉は強調を意味している言葉ですので

できれば一つの文書に一つだけ使用したほうがいいたいことが伝わりやすくなります。そのため、伝えたい文章に使用するようにして、それ以外の箇所はできるだけこの表現を避けた言葉遣いにしたほうが、相手にも何が最も伝えたいのかが分かりやすくなります。

 

ビジネス文書では特に、こちらの希望や依頼などをはっきりと伝えることが何よりも重要になりますし、業務の円滑化にもつながりますので、上手に言葉を使って、さりげない文書でも相手とのコミュニケーションがしっかりとれるようになりましょう。

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