博士学位請求論文の書き方
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博士学位請求論文
卒業やなにかしらの終了を得るために、論文の提出を求められることがあります。「卒論」という言葉は広く浸透していますが、これは学士の学位を取得するためのもので、いわゆる学部を卒業するために提出しなければならない論文を指しています。
学士論文と呼ばれることもあり、学部によってはこれを提出する必要がない場合もあります。卒業論文や修士論文は、その合否の判定をされます。多くのケースは、提出した後、発表会や公聴会の場で、論文を書いた本人が口頭発表を行い、それによって判定されています。
大学院において博士の学位を取得するために書かれる論文を博士学位請求論文、いわゆる博士論文といいます。在学しないものが論文博士となるために、大学院に博士号学位の認定を請求するための論文を提出する場合もあります。これも博士論文です。
博士論文の合否には、論文提出後に口頭試問や語学試験を必ず受けなければならず、論文とともに判定され合否が決定します。論文の内容は、独自性や新規性に価値を見出されるというよりも、研究論文としての書式の中で、
いかに成果をまとめているかといったものの方が重視される傾向にあり、「論文を書く訓練」といった見方もあります。日本において学位論文や学位請求論文と呼ばれる時には、博士論文のことになります。なお、大学院で修士の学位を得るための論文に関しては、修士論文と呼ばれます。
また大学院は学術における理論、応用の研究に従事し、高度な専門性を広く世の中で役立てるために学識や能力といったものを培う場所であるのですが、その中でも高度専門職業人を育成するために存在している大学院は専門職大学院と位置付けられています。
専門職大学院の場合には学位の取得に修士論文が必須とはなっていませんので、提出させるか否かは各大学院判断するところものです。ただし修士論文を提出させないのであれば、特定課題研究を履修しなければならないシステムになっています。これによって単位認定が行われます。
博士学位請求論文の書き方
投稿規定などが定められている場合には、それにしたがって書き進めます。特に理系の場合にはルールに沿わなければならない場合が多く、文系は特別ルールが課せられていることもあります。特別に示されていない場合でも、一定のセオリーを守ることが基本であり、それによって読み手に伝わりやすくしています。
実証実験に基づいて構成するような、自然科学や社会科学、人文科学、工学、医学の分野における論文は、IMRAD型をなすことが多く見られます。IMRAD型とは、「Introduction」「Methods」「Results」「Discussion 」「Conclusion」の頭文字を取っています。
Introductionはいわゆる、何をなぜ研究したかのかといった内容。Methodsは何をしたのかの具体的な内容。Resultsはこれによってないがわかったのかの内容。Discussionはそれは何を意味するものなのかの内容。Conclusionはこれらの研究によって得られるもの、もしくは得られたものはなにかの内容。
これらによって論文を構成し、具体的には「題名」「要約」「序論」「準備」「本論」「結果」「参考文献」「謝辞」「付録」となります。「要約」は本文の内容を短くまとめたものです。「序論」は研究に至る動機や背景、これが持つ意義、成果が何になるのかといったことを重要性も交えた内容にします。
準備はこの論文の内容を理解するために必要となる基礎知識などを記載しておきます。いわゆるここまでがIntroductionになります。「本論」はMethodsにあたる、理論や実験、調査の過程から、それによって得られた結果について記します。
「結論」によって「本論」で記している内容を説明し、自らが表した「仮定」の正しさを導き出すような作業もここで行います。Discussionにあたる部分となります。日本語でいうところの「まとめ」と同じだとは考えてはいけません。あくまでも「結論」なのです。
また「結果」と「考察」は明確の分けることが望ましいとされています。もし明確に区別することが難しい時には「結果と考察」とまとめて書くことも許されないことではありませんが、分ける努力は必要です。「参考文献」は、オリジナルではなく参考にした文献があるのであれば、それを漏らさず書いておきます。
「引用」もあれば、参考文献とは区別して、明確にしておきます。「謝辞」ではこれに協力してくれた人がいればそれについて、研究の過程においてお世話になった人や組織があればそれらに対して、またこの論文を読んだ人に対する感謝といったものをここに書き添えておきます。「付録」は添付書類といったものと同様で、この論文を根本を支える証明や実験の詳細結果などを添付します。
博士学位請求論文の書き方の注意点
オリジナリティが最も重視され、盗作は決してしてはならないことです。インターネットなどには多くの論文を閲覧できる環境がありますが、一部、もしくは全部を無断で引用することは厳禁です。もし引用をするのであれば、その出典は明記し、明確にしておきます。
そのままそっくりを載せる場合には「引用」、自分自身で解釈して考え方などをそこから得ている場合には、参考文献などで記載しておきます。「引用」している場合には必ず「引用」を明確にしておらねばならず、「引用」に記しているものについては、必ず本文中で引用しなければなりません。
また文章の論理構成が不明瞭になることを避けるため、様々な意味で取れるようなあいまいな表現は避けなければなりません。「思う」「思われる」「であろうと考えられる」といった自分自身の推論の余地がある言葉は、用いないものです。
考察の場合にも、論拠を示し、その論拠に基づいて断言もしくは明言することが必要です。客観的に判定することができるような内容や事柄については、その根拠を明確にし、それに付いても明記してます。
文章といっても情緒的なものではありませんので、不必要に感じるような接続視や修辞表現は使いません。実験やデータによって得られた事実は「事実」として、また考察については「考察」として、誰が見ても明確に区別されていなければなりません。